月経周期とパフォーマンスの関係!女性のトレーニング管理は今のままでいいのか?

近年の女性アスリートたちの活躍にはめざましいものがありますね!
実はここ数年のオリンピックでも、女性アスリートのメダル獲得数は男性のそれを超えているのです。
それに伴ってか、陸上や水泳、バスケットボールなど、
これまで女性の競技人口が少なかった競技でも、女性が増加傾向にあるようです。
しかし、トレーニング方法やコンディショニングは、まだまだ男性基準のまま!
これってどうなんでしょう。そもそも、女性のカラダは男性と違うので、そのパフォーマンスを十分に発揮するには特別な管理が必要ではないでしょうか?
今回は、女性のカラダとの上手に付き合う方法を考えてみたいと思います。
月経周期を調整する女性ホルモン
太い二の腕や厚い胸板…これは男性をイメージするものと言えるでしょう。
逆に女性をイメージするものといえば、ふくよかな胸に大きなお尻といったところでしょうか。
では、この差は一体どこにあるのでしょう?
ズバリその答えはホルモン環境の違いにあります。
男性の血中には筋肉を作ることを手助けする男性ホルモン(テストステロン)が多く含まれています。
ところが女性にはこのテストステロンが男性の約20分の1程度しかないため筋肉がつきづらいのです。
その代わりに女性には月経周期を調節する役割を担う女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)が多く含まれています。
女性は1ヵ月に1度、その作用によって月経を経験します。
正常な月経周期は25~38日の範囲内とされ、その周期は女性ホルモンのバランスにより、月経期、卵胞期、黄体期とよばれる3つの時期に区分できます。
月経前にはプロゲステロンの増加により体調の変化が現われるのは、ホルモンの影響なのです。
ホルモンバランスによる体調変化
ホルモンバランスが変化することで当然ながら気分や体調にも変化が現れます。
- 卵胞期・・・疲れやすい、にきび、頭痛
- 黄体期・・・乳房の張り、食欲増加、怒りっぽい、孤独感
一般的には月経後はポジティブな気分が高まる一方、月経前には自覚的な体調の悪化があります。これは皆さんも経験したことがあると思います。
つまり、体調の変化をもたらす原因が、プロゲステロンの生理作用と考えられるといわれているのです。
また、プロゲステロンには体温を上昇させる作用があるので、
日ごろから体温を測り、自分の基礎体温として照らし合わせ周期を把握しておけば、
一喜一憂することなく体調の変化に対応することができるのです。
自分の基礎体温を知らない女性も多いので、いちど測ってみることをおすすめします。
自分の月経周期がわかれば、体に起こる症状にも対処ができ、事前に心の準備をしておくことができます。
おっくうに感じていた月経中の運動さえも、理由がわかったうえで行えば、かえって気持ちもスッキリしだるさを解消できるものです。
月経による諸症状をネガティブに捉えるのではなく、上手に付き合っていくことが大切なのだと思います。
女性アスリートと運動性無月経
月経周期の時期で女性ホルモンが変動します。
それによって気分や体調にも変化が現れるのですが、各時期によって運動パフォーマンスには、どのような影響があるのでしょうか?
ある研究によると、有酸素系の能力には時期による差はあまり見られないとのこと。
また、筋力系の能力には被験者によりばらつきがあり、まだまだ詳しいことは不明なのだとか・・・
また、敏しょう性やバランス能力については、月経期に能力の低下が見られるそうです。
これは気分や体調の変化がパフォーマンスにも影響与えたと考えられます。
つまり、月経周期は一部のパフォーマンスに影響する可能性があると考えられています。
そして、女性アスリートと月経の関係では食事制限を伴った激しいトレーニングによる運動性無月経も無視できません。
月経周期は日常の様々なストレスによって容易に異常をきたすことが知られていますが、
食事制限を伴った激しいトレーニングもその原因のひとつです。
特に著しい減量が求められる体重階級制を必要とするスポーツや、
激しい運動の繰り返しによる体脂肪の減少が避けられないマラソンランナーなどは、
運動性無月経を発症する傾向が高いといわれています。
しかし、無月経はアスリートだけではなく、
無理なダイエットをしている一般女性にも当てはまります。
体脂肪が減少すると脂肪から生成される女性ホルモン(エストロゲン)も減少するため無月経になりやすくなるのです。
ある報告では初経発来には17%、正常な月経維持には22%の体脂肪が必要とされています。
ちなみに、あの有名なパリコレクションでもBMI値が18以下のモデルは参加できないと言う決まりがあるようです。
女性ホルモン減少が引き起こす症状
女性ホルモン(エストロゲン)には骨を強くする役割もあるため、この減少はアスリートの疲労骨折を誘引する可能性すらあるのです。
マラソンランナーに多い疲労骨折はエストロゲンの減少が原因ともいわれています。
また、高齢者の骨粗しょう症も同様です。
このように女性ホルモンは健康体を維持するために非常に重要な役割を果たしているのです。
トレーニング量を増やす場合はその分しっかりと栄養をとり、休息日を設けるなどの自己管理が必要です。
また日ごろから体温を測る癖をつけて月経周期の把握に努めることも大切ですね。
まとめ
女性の運動パフォーマンスを上げるには、
男性とは異なる体調管理が必要ということが解って頂けたのではないでしょうか?
これからの時代は、中学高校の部活も含め、女性のスポーツ環境をより充実させていくことが求められてきますね。
まずは、自分のカラダを知り、上手に付き合っていくことが最高のパフォーマンスを導き出す近道となることでしょう。